2011.01.14     カテゴリ:  両生綱 Amphibia 

   横顔

まずは朗報を。HDが奇跡的に復活してくれたため昔のもなんとか吸い出しできました。良かった...

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ヒダサンショウウオ Hynobius kimurae

2011/1 東京都 Olympus E-620

布団から抜け出すのが億劫になるこの寒い時期、繁殖の準備のために水場に集まり始める両生類がいます。
関東では山間部でヒダサンショウウオやナガレタゴガエル、平地~山地にかけてはアカガエルやヤマアカガエルがそれに当たります。
水場を利用する他の生き物との競争を避けて行うものと考えられますが、この寒い中で変温動物が活動し始めるというのはいつも不思議に思います。
まあその代わりに卵が凍ってしまったり、冬場の数少ない餌として捕食されてしまうこともあるようです。
イノシシなんかは朝方氷の張った場所を足で壊し、土を掘り返して両生類やなんかを食べることもあると聞きました。平地だけでなく沢沿いでもあちこちで掘られたあとが見受けられます(これは何を食べているのかわかりませんが)。

さて本種ですが、いつも見ているポイントでは早い時はだいたい12月の上旬くらい(確か12月の5日)から沢で観察できます。
これはその年の平均気温の変化にもよりますが、今年度は12月にそこまで冷え込まなかったためか少し集まりが悪いように感じます。同様にナガレタゴガエルもまだ沢にほとんどおらず、見つけた個体も普段は沢底でへばっているのですがかなり活発でした。まあちょっと毎年入って探してるので人為的な理由もありそうですが...

産卵はこちらでは2~4月に行われますが、だいたい水温が6~7℃になった辺りでピークに達するとのこと(Yasuchika Misawa and Masafumi Matsui 2007)。またこの論文ではヒダサンショウウオの生息している渓流での秋から春にかけての水温が東京に比べて平均的に低い京都の渓流でも同じ水温でピークがくると記述されていました。

卵嚢↓
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卵嚢はこのように岩の裏に一対産みつけられます。
段差のある、環境が安定していそうな大きな岩が良いようです。



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基部はこのようになっており接地面はさほどありませんがこれがかなり丈夫でちょっとやそっとでは外れません。


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また水中ではこのように青白く見えます。トウキョウサンショウウオは産卵後一日ほどで青みは消えてしまいますが、ヒダサンショウウオはある程度青みは残るみたいです。


孵化した幼生は、その年の秋に上陸するか越冬して翌年に上陸します。
これに関しても上記論文では述べられており、京都で調査していたポイントでは10月下旬~11月下旬には水が枯れてしまい、産卵場所より水位が下がってしまうために生まれたその年の7月下旬~9月下旬には上陸してしまうそうです。逆に東京では水位と水温が安定しているためその年に上陸する個体は21%しかおらず、越冬して翌年上陸する個体がほとんどだったとのことです。
これは場所にもよると思うんですが水温が安定していても、産卵場所が一時的に枯れてしまうような場所ではその年のうちに上陸してしまうのでしょうね。だから開発等によって乾燥化が進んだり、土砂などで一時的に水位レベルが下がってしまう等の要因が突然出てくると、それに対応できずに死んでしまう個体が多数出てくることでしょう。また水質の低下によっても(例えば土砂混じりの水が流れてきて外鰓に詰まり呼吸が困難になる、気泡を含んだ水が流れてきてそれを餌と勘違いして飲み込んでしまうことにより捕食が困難になる、など)死ぬ可能性はかなり高まりますが...

それと他の人為的要因ではヤマメやイワナなどの放流によっても幼生や成体が捕食されてしまいます。
餌の少ない冬場では特に格好の餌食となるでしょう。もともといる場所はいいとしてこうした行為はいかんですね。

またそれなりに傾斜のある渓流だと指先に黒い爪が生じます↓

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上陸した後は性成熟するまでは沢に集まらずに周りの森林の林床で生活していると思われますが、どうにかして出会ってみたいものです。
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2010年2月~10月 お借りしていたOlympus E-500
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2011年4月 先輩からE-510を格安で購入。
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